2007年 01月 10日
「輩出する」は自動詞です |
と、2年前の秋、ディープの本のゲラをチェックした校閲の方に指摘されるまで、恥ずかしい話、知らなかった。「輩出する」は、競馬関係では血統について書かれた記事などで多用される。
「サンデーサイレンスがディープインパクトなどを輩出した」
というふうに他動詞として使われることが多く、私もそうしていた。が、誤用である。
正しくは、
「サンデーサイレンス産駒として、ディープインパクトなどが輩出した」
である。
また、その校閲の方が「巡航」の使い方の誤りも指摘してくれたおかげで、私は、大勢の前で恥をかかずに済んだ。恥をかくだけならまだいいが、物書きが誤用をひろめることは「悪」だと思う。ということは、その校閲さんが、私の「悪人指数」の上昇を抑えてくれた、とも言えるわけだ。
あまりこういうことを言うのはよくないのかもしれないが、指摘されると、
「お前に言われなくてもわかってるよ」
と逆ギレしたくなる校閲もいる。
そういう人は、けっして読書家ではない私より読書量が少ないことが校閲ゲラからわかるし、それを補うための、自分が見る原稿に関する分野の資料調べも浅かったり、していなかったりする。
だが、「輩出」「巡航」などを指摘してくださった方の校閲ゲラを見たときは、
「参りました」
と言いたくなった。
今月末に上梓するディープの本の校閲は、私から編集者に言って、その方にお願いした。
校閲ゲラが上がってくるのが楽しみだった。自虐的になっていたわけではないのに「まちがいを指摘されるのを楽しみにしている自分」を感じるのは新鮮だった。
それが仕事場に届いたのは月曜日だった。2日ほどしかチェックする時間のないタイトなスケジュールだったのに、今パッと思い浮かぶだけでも「ヒット」が3つあった。自分の恥と悪をさらすのは最小限にしたいので、ひとつだけ。
私は何も考えずに、
「レース後の疲労回復のため……」
などと書いていた。
が、疲労を回復するということは、疲れた状態に戻るということである。「体力回復」「視力回復」などと比べるとわかりやすい。
この「疲労回復」を検索サイトで調べると、ものすごい数がヒットする。
屁理屈みたいになるが、「疲労回復」をうたったサプリメントを服用して余計に疲れても文句を言えない、ということになる。
さっき「週刊競馬ブック」のエッセイを送り、これで、先月のいつごろからか忘れたが、ずっと書きつづけていた日々が一段落した。
これからは続々と上がってくるゲラのチェックがメインになる。休みがとれるわけではないが、気分的にはずいぶん楽になった。
少し余裕が出てくると、いろいろ考えるようになる。その校閲の方と、きょうの日記のタイトルを書名にした本を共著で出せないものだろうか、とか。
午後、ベランダの植物に液肥をやった。
昨日発売の「週刊競馬ブック」に武豊騎手のインタビュー原稿が掲載されている。
「サンデーサイレンスがディープインパクトなどを輩出した」
というふうに他動詞として使われることが多く、私もそうしていた。が、誤用である。
正しくは、
「サンデーサイレンス産駒として、ディープインパクトなどが輩出した」
である。
また、その校閲の方が「巡航」の使い方の誤りも指摘してくれたおかげで、私は、大勢の前で恥をかかずに済んだ。恥をかくだけならまだいいが、物書きが誤用をひろめることは「悪」だと思う。ということは、その校閲さんが、私の「悪人指数」の上昇を抑えてくれた、とも言えるわけだ。
あまりこういうことを言うのはよくないのかもしれないが、指摘されると、
「お前に言われなくてもわかってるよ」
と逆ギレしたくなる校閲もいる。
そういう人は、けっして読書家ではない私より読書量が少ないことが校閲ゲラからわかるし、それを補うための、自分が見る原稿に関する分野の資料調べも浅かったり、していなかったりする。
だが、「輩出」「巡航」などを指摘してくださった方の校閲ゲラを見たときは、
「参りました」
と言いたくなった。
今月末に上梓するディープの本の校閲は、私から編集者に言って、その方にお願いした。
校閲ゲラが上がってくるのが楽しみだった。自虐的になっていたわけではないのに「まちがいを指摘されるのを楽しみにしている自分」を感じるのは新鮮だった。
それが仕事場に届いたのは月曜日だった。2日ほどしかチェックする時間のないタイトなスケジュールだったのに、今パッと思い浮かぶだけでも「ヒット」が3つあった。自分の恥と悪をさらすのは最小限にしたいので、ひとつだけ。
私は何も考えずに、
「レース後の疲労回復のため……」
などと書いていた。
が、疲労を回復するということは、疲れた状態に戻るということである。「体力回復」「視力回復」などと比べるとわかりやすい。
この「疲労回復」を検索サイトで調べると、ものすごい数がヒットする。
屁理屈みたいになるが、「疲労回復」をうたったサプリメントを服用して余計に疲れても文句を言えない、ということになる。
さっき「週刊競馬ブック」のエッセイを送り、これで、先月のいつごろからか忘れたが、ずっと書きつづけていた日々が一段落した。
これからは続々と上がってくるゲラのチェックがメインになる。休みがとれるわけではないが、気分的にはずいぶん楽になった。
少し余裕が出てくると、いろいろ考えるようになる。その校閲の方と、きょうの日記のタイトルを書名にした本を共著で出せないものだろうか、とか。
午後、ベランダの植物に液肥をやった。
昨日発売の「週刊競馬ブック」に武豊騎手のインタビュー原稿が掲載されている。
by akihiro_shimada
| 2007-01-10 16:53
| 業務